CS/マーケ/採用人事。社内転職でたどりついた”コーポレートデザイン”というお仕事
SaaSサービスのカスタマーサクセスをへて人事採用マネージャーへ転身。人事機能を立ち上げ、「人材教育」について取組を行っている松村さんへのインタビューです。
普段は松村さんがnoteの記事執筆をしているのですが、今回はインタビュー対象のためブレインズコンサルティングの採用支援を行っているuloqoの松任よりインタビューをさせていただきます。
顧客への価値提供を第一にサービス提供をする上での教育体制について是非深堀りが出来ればと思います。
―まず現在のお仕事内容を教えてください
松村:現在はコーポレートデザインチームという部署で、人事採用関連及びマーケティングのマネージャーをしています。マーケに関しては、現状は年1回の展示会出展以外は顧客インビューやコーポレートサイト更新などブランディングや広報よりの仕事がメインです。人事に関しては、人材配置に関しては扱っておらず、人事評価の改善活動や人材育成に関する研修の検討、研修実施の支援などをしています。
ポジション消滅も、育休明け×コロナ禍で転職できず社内を仕事をすることに
―はじめはカスタマーサクセスとして入社されたんですね
松村:はい、当時はエンタープライズ向けのチャットボットSaaSサービスを展開しており、そのカスタマーサクセスとして入社しました。
―どのような経緯でCSから人事機能の立ち上げに?
松村:2人目の育休直前にチャットボットSaaSサービスの提供終了が決まりました。そのまま育休に入ったのですが、復帰後に元のポジションがなくなることはわかっていたので、同じようにエンタープライズ向けのSaaSサービスの企業の選考を受けていました。
あと少しで内定というところまで選考が進んでいて、社長にも復帰せずに転職するかもしれないという事を伝えていたのですが、コロナで緊急事態宣言が出されてしまい保育園が休園。解除されたとしても、いつまた休みになってしまうかわからない状態で、3歳、0歳を育てていたため、転職後立ち上がるのが難しいと考えて、復帰しました。
「会社辞めるのやっぱりやめます」とありえないご報告にも、受け入れていただき家庭状況を心配していただいた社長には感謝しています。
復帰後は社内の手が足りない部分をお手伝いするという事で、コーポレートサイトリニューアルのディレクションを始めました。その後、展示会の出展全般、ウェビナー企画運営などマーケティング周りのお仕事をしていました。学生のことイベントや展示会のアルバイトをしていたこともあり、企画も好きだったので、自分から発案して実施していきました。
マーケをしても売るものがない──そうだ採用と育成をしよう!
ただマーケティングしようにも当社のコンサルというサービス上、人がいないとそもそも始まらない。
松村:この記事の通りこのころに、離職も多くマーケティングするにしても人材が足りないという状態でした。そこで当時役員+採用スタッフだけで行っていた採用活動を手伝いたいと、手をあげたのがはじまりです。
ここからはコーポレートデザインチームの担当役員である取締役古崎さんにも一緒に話しを伺いたいと思います 。
教育施策の第一歩は若手ではなく上位層
―松村さんが、採用だけでなく人材育成の領域を担当されることになった経緯はどういったものでしょうか
古崎:これまでも教育制度を整えたいという話自体はあり、多少検討を行ってたのですが取りまとめる人がいないのと、着手を初めてもプロジェクト優先で後回しになっていました。新卒採用の検討や若手採用開始に伴い、松村さんに手を挙げてもらい会社全体の取り組みとして検討や実施を進めました。
―研修体系はどのように整えられたのでしょうか
松村:実際はまだ試行錯誤中といったところで、完成しているわけではありません。手の届くところから少しづつ外部研修などを組み合わせて整えていきました。
社員教育に力をいれるとなると、はじめに若手を研修に行かせたり、資格取得を奨励したりするパターンが多いかと思います。
しかし弊社では若手を育てる能力を向上させるため、マネージャー以上のメンバーの研修制度を先に整えました。社員が全て中途採用の為、バックグラウンドが異なり、そこに一律の研修を行っても無駄が多く発生してしまいます。
個人の知識習得に関しては既にある自己啓発費用(業務に必要な知識を学習するために使える予算。書籍購入や研修参加費用に充てられる)を有効に活用してもらいつつ、より効果的なOJTとなるような仕組みとしました。
古崎:弊社は特定のパッケージ導入や、特定業務に特化したコンサルティングを提供しているわけではないので多少の研修をしたところでなかなか実成果につながりません。
コンサルティングというサービスの特性としては実際のプロジェクト業務に参画し、プロジェクトの推進方法だったりお客様の業界固有の知識・課題について上司からフィードバックを得ながら学ぶOJTの方がより実践的かつ即戦力的なスキルが習得できます。
―では具体的な研修体系はどのようなものでしょうか
松村:クリティカルシンキング研修と、コーチング研修の定期実施です。クリシンの研修はマネージャー昇格時(ないし昇格以前)に1回、コーチング研修は年1回実施しています。
クリティカルシンキング研修を必須にするにあたって社長も含め、マネージャー以上の方全員にグロービスのクリティカルシンキング研修に参加してもらいました。
内容自体は社会人として基本的な論理的思考の講座です。弊社であえてマネージャークラスにこの研修を必須としているのは、いままで業務を通じて学んできたことの棚卸と、講師の導き方を見ることで後輩の育成方法の気づきとして欲しいと考えたからです
コーチング研修では、エグゼクティブコーチ1名×社員3名で複数回開催しています。実務を想定した1on1を講師の前で実施してフィードバックやアドバイスを受けます。私も受講しましたが講師の前で1on1をするのはかなり緊張します。
―3か月に渡り課題の提出も含めた講座(クリシン研修)を受講するというのは役員の立場ではいかがでしたか?
古崎:ウェルカムでした。マネージャー以上のメンバーもかなりバックグラウンドがそれぞれ異なります。文化や経験してきた立場、思考のバラつきもあるので最低限、後輩をきちんと教えられるようになるに有効だと感じます。
また自分自身のこれまでの仕事の仕方、思考の癖をしっかり見つめるという意味でも良かったと思います。
―若手に向けての教育でOJT以外に行っていることはありますか
松村:若手でまったく業務システム開発を経験していない方を採用した場合には、開発会社の新卒社員などが参加する開発の基礎研修に参加してもらっています。
現在受託開発は請け負っておらずSE業務はほとんどないのですが、会社として「技術志向」を掲げており、開発現場を知って欲しいという考えからです。
あとは「資料作り」と「ファシリテーション」に関する書籍をABD (Active Book Dialogue) という手法で読みました。ABDは読書法の一つで、1冊の本をパート分けし自分の担当分を読み、要約を作成、全員で順番に自分の要約内容を発表するという手法で、短時間で1冊の本を読むことができます。
最近この研修に参加していない人も増えてきたので、再度開催したいと考えています。一度読んだ人も違うパートにすれば飽きず参加できますし、こういった基礎的なものは新しいものをいろいろ読むよりも時々原点に立ち返ることで身についていきます。
こういった社会人基礎に追加して今後はもう少し業務系の研修も行っていきたいと思っています。
まずは会社として「サプライチェーンマネジメント」を注力領域とする事が決まったので、若手向けにSCMの基礎知識の研修を予定しています。
懐刀コンサルティングのマインドを定着させる仕組み作り
―研修以外の人事施策は何か実施されていますか?
古崎:他にもイベントや手当の検討などを行っています。最近一番大きかったのは「懐刀の心得16則」という形で、弊社のITコンサルタントとして大事なマインド、行動規範をまとめたことです。
もともと似たようなものはあったのですが、項目の重複や解釈の余地が広すぎる表現などがありました。
実業務の中で意識できる粒度にして活用していきたいとコーポレートデザインチームで素案を作り、最終的には社長と議論を重ね現在の形になりました。
社員への浸透に向けては、最初は心得を社長が毎週1則づつ解説を行いました。現在は社員が持ち回りで「心得自慢」と題して実践例の発表を行っています。
松村:”懐刀として顧客に貢献する”というのはわかりやすそうに見えます。しかし実業務においてどんな目配り、心配りをし、お客さんの為にどこまでやりきるかという点でどうしても個々人で差がでてきてしまう。
それを16則に照らし合わせて言語化し共有することで、気づきに繋げられればと思っています。
個人的にスキル以上にマインド浸透の施策は難しいと感じています。そこに関しても丁寧に取り組んでいると感じました。
「ブレインズコンサルティングがあって良かった」社員にもお客さんもそう思ってもらえる会社を目指して
ー広い範囲での業務を行っていて大変かと思いますが、松村さんにとってこの人材育成の仕事の難しさとやりがいは何でしょうか。
松村:難しい点はどの仕事も自分ひとりでは何もできないという事です。相手は他人なので、受け止め方は人それぞれです。善かれと思って作った制度が思ったように機能するかどうかやってみるまでわからないし、やってみても効果測定も難しいと感じています。
やりがいというか、うれしかったことは会社を好きと言ってくれるメンバーが増えたことですかね。
リボーン宣言以前の時期は、プロジェクトに対しては皆さん前向きに取り組んでいましたが、会社に対してあまり期待をしていない人が多かったように感じています。
そこから再スタートをして、会社の仕組みを少しずつ作ってきた中で、「会社をどうしたら良くできるのか」という視点で前向きに議論する社員や機会が増えているように思います。
ーでは古崎さんからみて、これまでの松村さんのお仕事と今後に期待することは何でしょうか
古崎:松村さんは自分に与えられた業務領域のみならず、気になることはいつも本音で話をしてもらっています。そのために意見がぶつかることもありますが、目指しているゴールは同じなので全く嫌な気分にはならないですね。
多分、弊社は会社規模が小さいこともあると思いますが役員との距離が(良い意味で)異様に近いと感じています。私としては松村さんにご自身の存在価値・効果を最大限発揮して欲しいと思っているので、できる限り松村さんが動きやすいようにサポートに回っているイメージです。(笑)
また、人事施策については数年前から実現したいと思っていた教育制度の整備とその実施について、ここ1,2年で大きな一歩を踏み出すことができました。先に話した通りITコンサルタントとして一番成長できる場所はプロジェクト現場だと思いますが、それだけだと個人事業主の集まりと変わりません。この会社にいる意味として成長を後押しできる環境が必ず必要だと思っていたので、社員の成長を支援できる教育制度の実現に向けて一歩踏み出せたことはとても大きいことだと感じています。もちろん、その結果としてお客様への価値提供のレベル・品質も上がっていくはずです。
会社規模が大きくなるにつれてどうしても会社の特徴が薄れていくようなイメージがありますが、「懐刀の心得16則」なども含めて「ブレインズコンサルティングならでは」を今後も追求していきたいと思います。
ー今後コーポレートデザインチームとして取り組んでいきたい事はなんでしょうか
松村:もう少し教育体系を整えたい、スキルの見える化をしたい、AI系の業務適用の推進をしたいなどやりたい事は山のようにあります。最終的に「ブレインズコンサルティングがあって良かった」と思ってもらえるように尽力したいです。
前半で退職をやめさせてもらった話をしましたが、子どもを3人育てながらも様々な仕事にチャレンジさせていただき「こんな会社があって良かったな」と私自身が感じています。
ですから入社していただいた社員の方には「この会社に入ることで良いキャリアになった」「この会社だからいい仕事ができた」「ブレインズコンサルティングがあって良かった」と思ってもらいたいです。
そしてお客さんにもきちんと価値提供を行った結果「ブレインズコンサルティングのおかげで助かった」「大変なプロジェクトがなんとかなった」「ブレインズコンサルティングがあって良かった」と思っていただきたいです。
インタビューを通じて、松村さんの会社への想いが沢山伝わりました。 非常に風通しが良い社風で、お客様/自社の成長を第一に考えるからこそ 経営陣含め会社で活発に意見交換が行われ、まさに今更なる成長フェーズ/変革真っ只中の様に感じます。 「懐刀」の意思を社内外問わず、より多くの方々に届くことを切に願うインタビュー時間でしたし 是非、プロフェッショナル思考で顧客への成果コミットを切に望んでいる方々はブレインズコンサルティング様でのキャリア形成を心からお勧めいたします!(uloqo 松任)